徒然雑記



肝臓派と町工場のおやじ派論

私の知り合いにエクステリア、外溝工事の仕事をしている人がいる。
看板も広告もWEBも出してない、ましてどこかの会社の下請けすらやってない。
そんな彼がどうやって仕事をとってくるかというと、人とのつながりだけを頼りにしている。
ひなびたローカルな酒場が彼の営業の場である。
そこでそこに集まる自分より年上の地の人と仲良くなって
「今度、うちの庭回りを直してくれよ」と頼まれる。
最初は小さな仕事でも、知り合いの友達やまたその知り合いが増えれば
そこから仕事も広がっていき、そんな知り合いの中には中小企業の社長さんなんかもいたりして
「うちの工場の敷地にフェンスをはってくれよ」とか、大きな仕事をもらえるようになる。

彼はこうやって自らの家族と2人の従業員を養っている。
つまり、酒のつながりで人脈を広げて営業する。
「この仕事は酒場で気が合うあの人に頼みたい」そう思わせる。
こういう人の事を私は肝臓派と呼んでいる。

しかし、酒を飲む事が出来ない人もいる。
人に合わせてコミュニケーションをとる事が苦手な人もいる。
居酒屋でだらだらよた話しして過ごすのがたまらなく嫌いな人もいる。

ではこういう人はどうすればいいのか、
それは自らが持っている技術をひたすら磨いたり、能力を高める事であると思う。
例えば町工場のおやじがそうだ。
無口でヒゲヅラで愛想笑い一つしないような町工場のおやじが
実は世界のどの企業でも出来ないような
すごい技術を持っているというような話しはよくある。

彼らは、ただひたすら技術を磨く事だけを考えそれに精進している。
朝も昼も晩も仕事の事ばかり考えている。
いや、もしかしたら肝臓派と互角に渡り合うには
肝臓派以上の技術を持つしか方法がないと思っているのかもしれない。

しかしその結果、自分で営業しなくても、国内海外問わず勝手に仕事が舞い込んでくるようになる。
「あなたの会社はすごい技術を持っている、ぜひ取引したい」
「この仕事は世界中であなたの会社しかできない」と
これが技術で仕事を取る町工場のおやじ派である。

日本の職人さんにはこういうタイプの人が多かった。畳屋さんにしても建具屋さんにしても
皆、自らの技術や技能に誇りを持って生きてきた。
またこの国は昔からそういう風土であり文化であり、そういう人を大事にしてきた。

職人さんや技術者でなくても同じである。
そして、大抵の人はどちらか一つしか持っていない。
いや、必ずどちらか一つしか選択できないはずである。なぜなら時間は皆に平等であるから

人とうまくコミュニケーションをとって人脈を広げていく肝臓派タイプか
自分にしか出来ない事を突き詰めて行き、人から認めてもらう町工場のおやじ派タイプか

さくら舞い、新社会人が巣立つ季節である。
新たに社会人になった人もそうでない人も
よくよく自分を見つめ直して自らの人生を切り開いて行くとよいかもしれない。


徒然書 2008/4/9 AQ
徒然雑記へ

N-FLORA.COM